ハンガリー国立歌劇場とは... ドナウの真珠と謳われる美麗な古都、プダペストのメイン大通り、アンドラーシ通りの真ん中に、威風堂々とそびえるのが、ハンガリー国立歌劇場だ。ファサードの両側には、ハンガリーが誇る国民的作曲家、フェレンツ・エルケルとフェレンツ・リストの銅像が立っていて、外観はウィーン国立歌劇場と良く似ている。 歌劇場が建設されたのは1884年、ウィーンの皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が統治するハプスブルグ帝国時代であり、こけら落とし公演には皇帝自身が臨席している。過去にはグスタフ・マーラーも音楽監督を務めた名門歌劇場だ。2022年には5年間にわたる大規模改修を経て、建設当時の壮麗な美しさを誇る歌劇場にリニューアルした。ウィーンの皇妃エリーザベトがたびたび通ったというロイヤル・ボックスや真っ赤な絨毯を敷き詰めた大階段、華麗な馬蹄形の客席も美しく蘇った。(音楽評論家・石戸谷結子) グスタフ・マーラー エリーザベト モーツアルト「魔笛」の魅力を深掘り! 今回ハンガリー国立歌劇場が公演するのが、モーツァルトの傑作「魔笛」。35歳の若さで夭折したモーツァルトが、死の数か月前に完成した作品だ。途中に台詞が入るジングシュピールという形式で書かれ、千年も経った樫の木で作られた不思議な魔法の笛が介在するファンタジックな物語。ある国の王子さまと夜の女王の娘との純愛、二人に課せられたさまざまな試練、鳥を捕獲して暮らす不思議男も登場して、物語は思わぬ方向に進展する。童話?あるいは哲学譚?あるいは成長物語?と、さまざまな解釈が可能な奥深い作品だ。    ハンガリー国立歌劇場の「魔笛」は、大人から子供まで幅広い層が楽しめる、ほのぼのとした舞台。ちょっと現代的感覚を盛り込んだ親しみやすいキャラクターや豪華衣装の登場人物が、生き生きと舞台を彩る。もちろん音楽の国ハンガリーだけに、美声の歌手たちの競演も聴きどころ。モーツァルトの純粋で美しい音楽にのせて繰り広げられる楽しい舞台を、お見逃しなく!(音楽評論家・石戸谷結子) 王妃エリザベートが愛したハプスブルグ帝国の王立歌劇場ハンガリー国立歌劇場W.A..モーツアルト「魔笛」 【公演概要】 出演:アンドレア・ロスト(パミーナ)、アレクサンドリア・オルチク(夜の女王)※東京公演のみ、ヨージェフ・ムック(タミーノ) ほか指揮:ヤーノシュ・コヴァーチュ 演出:ミクローシュ・シネタール演奏:ハンガリー国立歌劇場管弦楽団、合唱団 ◆ 大宮◆ 東京2026年6月28日(日)15:00開演2026年6月30日(火)18:30開演大宮ソニックシティ 大ホール東京国際フォーラム ホールAS席 21,000円/A席 17,000円/B席 14,000円/C席 11,000円/D席 9,000円S席 27,000円/A席 22,000円/B席 18,000円/C席 14,000円/D席 10,000円 お問合せ:コンサートドアーズ チケットセンター 03-6851-5966主催:コンサートドアーズ共催:公益財団法人埼玉県産業文化センター(大宮公演のみ)後援:ハンガリー大使館/リスト・ハンガリー文化センター 大音楽家を輩出してきたハンガリー国立歌劇場 ハンガリーは19世紀以来多くの偉大な演奏家を生み出してきた。とくに指揮者に関してはフリッツ・ライナー、ジョージ・セル、ゲオルグ・ショルティといったビッグネームが挙げられる。近年長らく音楽監督を務めてきたヤーノシュ・コヴァーチュは過去10回の日本ツアーに同行して高い評価を受けている。 また、エヴァ・マルトン、イロナ・トコディ、アンドレア・ロストなど多くの一流歌手がこの劇場でデビューして世界的な名声を受けるに至った。今回の来日公演にも未来のスター候補と言える若い実力派歌手が登場する。 出演者プロフィール ヤーノシュ・コヴァーチュ Kovács János(指揮) 1951年にブダペストに生まれ、フランツ・リスト音楽大学で指揮とピアノを学んだ。卒業後、すぐにハンガリー国立歌劇場にコレペティトーアとして加わり、1976年から同歌劇場専任指揮者。 1979~81年にかけて、バイロイト音楽祭でピエール・ブーレーズの音楽助手を務め、84年にはハンガリー政府からフランツ・リスト賞を授与される。こうしてキャリアを積んだのち、87~90年にハンガリー国立歌劇場首席指揮者。その後も同歌劇場音楽監督代行などを務め、2007に首席指揮者に返り咲いて現在にいたる。 また、ハンガリーの主要な交響楽団のほか、ヨーロッパの主だったオーケストラや歌劇場にもたびたび客演。レパートリーは古典派やロマン派から現代音楽まで幅広い。1992~98に東京フィルハーモニー交響楽団の首席客演指揮者を務めるなど、日本との縁も深い。(オペラ評論家・香原斗志) アンドレア・ロスト Andrea Rost(パミーナ) 1962年にブダペストに生まれた世界的なリリック・ソプラノ。フランツ・リスト音楽大学に学び、まだ奨学金を受けていた89年、ハンガリー国立歌劇場でグノー《ロメオとジュリエット》のジュリエットを歌いオペラ・デビューした。 その2年後にはウィーン国立歌劇場の専属歌手になり、《愛の妙薬》のアディーナ、《ランメルモールのルチア》の表題役、《ラ・トラヴィアータ(椿姫)》のヴィオレッタ、《フィガロの結婚》のスザンナ、《ドン・ジョヴァンニ》のツェルリーナなど主要な役を次々と歌った。 その後はミラノ・スカラ座、英国ロイヤル・オペラ、パリ・オペラ座、メトロポリタン歌劇場、ザルツブルク音楽祭など、世界の主要な歌劇場や音楽祭を席巻した。スカラ座ではリッカルド・ムーティに評価され、日本公演でも《オテッロ》のデズデーモナなどを歌っている。《魔笛》のパミーナもスカラ座をはじめ数々の歌劇場で絶賛された。98年に新国立劇場でヴィオレッタを歌って以来、来日も多い。(オペラ評論家・香原斗志) アレクサンドラ・オルチク Alexandra Olczyk (夜の女王) ※ 東京公演にのみ出演 ポーランド出身で、世界の一流オペラ座から出演依頼の絶えないコロラトゥーラ・ソプラノの第一人者。ポーランド各地の国際コンクールに多数入賞し、ワルシャワのポーランド国立歌劇場でドンナ・フィオリラ(イタリアのトルコ人)、ベルリンのコーミッシェ・オペラとウィーンのフォルクスオーパーで夜の女王(魔笛)を歌い一躍注目を集める。 その後、メトロポリタン歌劇場、英国ロイヤルオペラ、ベルリン国立歌劇場、パリのシャンゼリゼ劇場、マドリード王立劇場、ローマ・オペラ座、ドレスデンのゼンパーオーパー、グラインドボーン音楽祭など世界のほぼすべての主要な歌劇場で夜の女王を歌い圧倒的な成功をおさめ続ける。オーストラリア音楽業界のヘルプマン音楽賞(2019年最優秀女性パフォーマー)とポーランド音楽産業賞(2020年Koryfeusz Muzyki Polskiej)を受賞。 ハンガリー国立歌劇場「魔笛」2026年公演 全国日程 6月20日( 土 )  姫路  アクリエひめじ6月21日( 日 )  大阪 大阪フェスティバルホール6月22日( 月 )  福岡 福岡シンフォニーホール6月24日( 水 )  浜松 アクトシティ浜松6月25日( 木 )  津 三重県文化会館6月26日( 金 )  名古屋  愛知県芸術劇場6月28日( 日 )  さいたま  大宮ソニックシティ6月30日( 火 )  東京 東京国際フォーラムホールA 7月2日( 木 )  三鷹 武蔵野市民会館7月3日( 金 )  新潟 りゅーとぴあ  7月4日( 土 )  高崎  高崎芸術劇場  ハンガリー国立歌劇場「魔笛」2026年公演チケット購入情報は近日公開! 11月30日(日)10:00発売予定、お見逃しなく。