~加藤浩子のスロヴェニア マリボール国立歌劇場現地レポ その1~
「この劇場は伝統的な演出で、私たちの観たいオペラをやってくれるんです」
オーストリアのグラーツからバスツアーで来たという上品な老夫婦は、そう言った。
「子供に《アイーダ》を見せたくてね」
こちらは、首都リュブリヤーナから家族を連れてきたお父さんの言葉である。
マリボール国立歌劇場ロビーの模様
美しい舞台と、適材適所の演奏家による水準の高い公演。
スロヴェニア国立マリボール歌劇場の舞台を観れば、オペラファンが期待するのも納得できる。
筆者が観劇した《アイーダ》も、これぞ《アイーダ》!と言いたくなる壮麗な舞台で、満席の盛況。
演出のマエストリーニ、指揮のロッサともどもイタリア人で、舞台の美的感覚も、
歌心と劇性あふれる音楽作りも、イタリア・オペラのツボを抑えたもの。
若手歌手たちの大健闘も収穫だった。
次回からは出演者の声もご紹介したい。
「アイーダ」カーテンコールの模様
音楽評論家 加藤浩子(文と写真)