150以上の異なる役を演じるテノール、バリトン、指揮者として多岐にわたり活躍し、世界最高峰の舞台で聴衆から賞賛を浴びているアーティスト。教養人として知られ、人道的な取り組みに対して贈られる数々の名誉ある称号や賞を授与される。若い才能のためにオペラリアというコンクールを創設するほか、スペインとサルスエラの文化交流大使をつとめる。 極めて多才であり、3大テノールのカレラスとパヴァロッティ共演のオペラで総監督兼プロモーターを務める一方、世界の歌劇場のシーズンオープニングに度々登場するほか、オペラ映画の出演など異なる分野で成功をおさめるクロスオーバーのパイオニアとして、12回のグラミー賞を受賞。500回以上の公演でタクトを振るなど、世界中のオペラハウスで半世紀以上もの間絶え間なく輝かしいキャリアを続けている。 日本デビュー50周年記念にして、最後の来日。世界中の名歌劇場でのオペラ出演、三大テノール公演、壮大なアレーナ会場でのガラコンサート...65年の歌手人生の総決算が実現! プラシド・ドミンゴ プレミアムコンサート2025 【開催概要】出演:プラシド・ドミンゴソプラノ:モニカ・コネサ指揮:マルコ・ボエーミ演奏:東京フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団公演日:2026年5月7日(木)18:30開演 NHKホールS席 42,000円/A席 35,000円/B席28,000円/C席 21,000円(税込)問合せ:コンサートドアーズ チケットセンター03-6851-5966主催:コンサートドアーズ 【予定プログラム】◆ 第1部イタリア・オペラのアリアとデュエットジョルダーノ:<アンドレア・シェニエ>より第3幕「祖国の歌」プッチーニ:<トスカ>より第2幕「歌に生き、愛に生き」ヴェルディ:<マクベス>より第4幕「裏切者め!憐み、誉れ、愛」ヴェルディ:<トロヴァトーレ>より二重唱 など◆ 第2部ウィーン・オペレッタ、イタリア・カンツォーネ、スペイン・サルスエラなど世界の名曲 ドミンゴ最後のコンサート とんでもないものを見てしまった。 1976年9月、第8次イタリア歌劇団公演、《道化師》のラストシーン。主人公の道化師カニオが妻を殺し、ナイフを投げ捨てて、「芝居は終わりましたLa comedia e finita!」と言い放った瞬間、筆者は呆然としてしまった。ぐいぐい引き込まれていたカニオの狂える心から、突然放り出されてしまったからだ。舞台上のカニオと同じように。 その時道化師カニオを演じていたのが、初来日だった35歳のドミンゴである。それまで何度かオペラは観ていたが、あれほど舞台に引き込まれたことはなかった。オペラはドラマなのだと思い知った公演だった。 それからほぼ半世紀。ドミンゴは世界のオペラハウスを席巻し、有名歌劇場と度々来日し、「三大テノール」として一世を風靡した。彼のおかげでオペラや「声」が好きになった人は無数にいる。ファンなら誰でも、「自分だけのドミンゴ」の思い出があるのではないだろうか。1976年の筆者のように。 一流の歌手は一声でその人だとわかる声を持ち合わせているが、例えばパヴァロッティの声が大空に輝く太陽のように聴き手を幸せにしてくれる声なら、ドミンゴの声はドラマティックで情熱的で、聴き手の心をかきむしる歌役者の声ではないだろうか。ドミンゴほどオペラの舞台が似合う歌手はおらず、アリア1曲で舞台をオペラに変えてしまう歌手も稀だ。 前回の来日で「メリー・ウィドウ・ワルツ」を歌う彼の、なんと優雅でロマンティックだったことか!それも、80歳を過ぎても現役で舞台に立ち続けているからこそ。ドミンゴにとって舞台に立つことは、多分息をするように自然なことなのだ。 だが超人もいつかは舞台を去る。この度の来日は日本での最後の舞台になるという。別れを惜しむファンは多いだろうけれど、この機会にドミンゴを初めて聴く人もいるかもしれない。誰もがきっと、「自分だけのドミンゴ」の思い出を作る一夜になるはずだ。 ー 音楽評論家 加藤浩子 出演者プロフィール ( writed byオペラ評論家・香原斗志 ) Plácido Domingo プラシド・ドミンゴ ドミンゴほど著名かつ多面的なアーティストはいない。1941年にスペインのマドリードで生まれ、スペインの国民歌劇「サルスエラ」の劇団を主宰する両親とともにメキシコに移住し、メキシコシティ国立音楽院を修了。59年にメキシコ国立歌劇場にデビューした。70年代にはもう世界の一流劇場や音楽祭を席巻し、公演ごとに熱狂を巻き起こすトップスターだった。 90年からはパヴァロッティ、カレーラスとともに「三大テノール」として世界中を沸かせた。オペラのレパートリーは150を超え、こなした公演数は4000以上。ミュージカルもポップスも歌い、指揮者としても活躍する。プロとして歌いはじめて65年以上が経過したが、艶がある魅惑的な声もノーブルな表現力も健在で、いまなお若い歌手を寄せつけない。ドミンゴほど声を維持して長く歌い続けた歌手は、過去に例がないのではないだろうか。まさに「不世出の歌手」で、いまなお快進撃を続けるのは驚異としかいいようがない。 Monica Conesa モニカ・コネサ(ソプラノ) 若きマリア・カラスを彷彿させる、傑出したポテンシャルとテクニックを備えたキューバ系アメリカ人のソプラノ。2023年夏にヴェローナ野外劇場で、わずか26歳で《アイーダ》のタイトルロールを歌って絶賛された。こうして同劇場史上、最年少でタイトルロールを歌った歌手として記録された。ラヴェンナではリッカルド・ムーティの指揮で《ノルマ》のタイトルロールを歌った。 少し陰りを宿した芯のある声をドラマティックに響かせる一方、弱音まで精密にコントロールする。ダイナミックレンジが広く、細部まで徹底的に磨き抜かれた歌唱表現は比類ない。稀にしか現れないドラマティック・ソプラノの大器だ。すでに《ラ・ジョコンダ》や《トスカ》のタイトルロール、《道化師》のネッダ、《フィガロの結婚》の伯爵夫人などにデビュー。2024年の公演では、ドミンゴとの息がぴたりと合うとともに、思いがけず素晴らしい歌手が聴けたという満足感を、多くの観客に抱かせた。 Marco Boemiマルコ・ボエーミ(指揮) オペラと歌手の呼吸を知り尽くしたローマ出身の指揮者兼ピアニスト。ローマのサンタ・チェチーリア音楽院でピアノと指揮を学んだが、ラ・サピエンツァ大学の法学部も卒業している。数々のコンクールに入賞後、ミラノ・スカラ座、ローマ歌劇場、バイエルン州立歌劇場など、世界有数の歌劇場や音楽祭でキャリアを積んだ。 プラシド・ドミンゴのほか、ルチャーノ・パヴァロッティやホセ・カレーラス、レナート・ブルゾンやダニエラ・デッシーら大物歌手と共演を重ね、歌手からは絶大な信頼が寄せられている。近年はアンナ・ネトレプコやヴィットリオ・グリゴーロのほか、ピョートル・ベチャワ、ルーカ・サルシ、イルダール・アブドラザコフ、アントニーノ・シラグーザ、マリアンジェラ・シチリアといった旬のスター歌手との共演が多い。マリーナ・レベカとは録音もした。モーツァルト、ベートーヴェン、マーラーらの作品など、オーケストラ曲のレパートリーも広い。 プラシド・ドミンゴ プレミアムコンサート2025チケット購入情報は近日公開! 2026年5月7日(木)NHKホール★ 11月29日10:00発売2026年5月11日(月)大阪フェスティバルホール★ 12月6日10:00発売予定